健康保険被扶養者異動届の記入例・書き方について!添付書類・提出先
社会保険の適用事業所において、新たに従業員を雇い入れた場合、その従業員が社会保険の加入対象者であれば、社会保険の資格取得の手続きを行う必要があります。
国民健康保険は、扶養の概念がないのですが、社会保険の健康保険は、被保険者の保険料負担で、被扶養者も健康保険に加入することになります。
そのため、従業員に、扶養家族がいる場合には、扶養家族も、健康保険の被扶養者の認定手続きが必要となります。
新たに雇い入れた従業員だけでなく、勤務中の従業員が結婚や出産によって、扶養家族が増えた場合にも、同様の手続きが必要となります。
このときに、「健康保険被扶養者異動届」というものを記入し、提出することなります。
そこで、ここでは、この健康保険被扶養者異動届の書き方や記入例について見ていきたいと思います。
目次
健康保険の被扶養者とは?
社会保険に加入している従業員に、家族が増えた場合に、その家族が被扶養者に該当する可能性があります。
例えば、結婚して妻が専業主婦になった、子どもが産まれた、などといった場合です。
その他にも、共働きだったが妻が退職した、仕事を退職した親の生活費を負担することになった場合なども該当する可能性があります。
このような場合において、被扶養者となるには、社会保険上の扶養家族の条件を満たす必要があります。
健康保険の扶養家族の範囲とは?
健康保険、つまり、社会保険上の扶養家族の範囲は、健康保険法で以下のように規定されています。
1.被保険者と同居している必要がない者
- 配偶者
- 子、孫および兄弟姉妹
- 父母、祖父母などの直系尊属
2.被保険者と同居していることが必要な者
- 上記1.以外の3親等内の親族(伯叔父母、甥姪とその配偶者など)
- 内縁関係の配偶者の父母および子(当該配偶者の死後、引き続き同居する場合を含む)
上記のいずれかの条件に該当すると扶養家族となりますが、75歳以上で加入する後期高齢者医療制度の被保険者となる人は扶養家族とはなりません。
健康保険の被扶養者の収入要件は?
収入の要件は以下となります。
年間収入130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は、年間収入※180万円未満)かつ
- 同居の場合 収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満
- 別居の場合 収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満
しかし、40歳から64歳の家族を被扶養者とした場合には、該当する被扶養者の介護保険料が別途必要となります。
健康保険被扶養者異動届の添付書類は?
健康保険被扶養者異動届を提出する際には、被扶養者として認められるために添付する必要のある書類があります。
それぞれについて見ていきたいと思います。
続柄が確認できる書類
- 被扶養者の戸籍謄本または戸籍抄本
- 住民票の写し
上記の添付書類は、提出日から90日以内に発行されたものとなり、住民票の写しは、被保険者が世帯主で、扶養認定を受ける人と同居している場合のみ認められます。
ただし、上記の添付書類は、被保険者と扶養認定を受ける人のマイナンバーが記入されており、扶養認定を受ける人の続柄を事業主が相違ないことを確認した旨を記入すれば、省略することが可能です。
年間収入が130万円未満であることを証明できる課税証明書
健康保険の扶養となるためには、被扶養者の年間収入が130万円未満であることが条件の1つとなります。
このことを証明するためには、被扶養者の「課税証明書」等が必要となります。
ただし、16歳未満の場合や、対象者が所得税法上の扶養親族に該当することについて、事業主の証明があれば、課税証明書等の添付書類は必要ありません。
仕送りの事実が確認できる書類
被扶養者が別居している場合には、被扶養者の生活費を仕送りしていることが確認できる書類が必要となります。
仕送り額がわかる預金通帳等のコピー、現金書留のコピーがその証明書類となります。
ただし、対象者が16歳未満もしくは16歳以上の学生である場合は、仕送りに関する証明書類は不要となります。
健康保険被扶養者異動届の提出期限・提出先は?
健康保険被扶養者異動届は、被扶養者の追加等が発生してから、5日以内に提出します。
提出先は、管轄の年金事務所となります。
郵送、窓口持参、電子申請のいずれかでの提出となります。
健康保険被扶養者異動届の書き方・記入例!
それでは、健康保険被扶養者移動届の書き方について見ていきたいと思います。
事業主記入欄
事業主記入欄には、事業所整理記号・事業所所在地・事業所名称・事業主氏名・電話番号を記入します。
また、被扶養者の収入要件を事業主が確認した場合には「確認」を〇で囲みます。
これにより、課税証明書等の所得証明書類の提出を省略することができます。
A.被保険者欄
被保険者について記入します。それぞれの記入内容について見ていきたいと思います。
①被保険者整理番号
社会保険の被保険者に割り振られている番号です。
健康保険証の「番号」の箇所に書かれている数字が被保険者番号です。
②氏名
被保険者の氏名を記入します。
③生年月日
被保険者の生年月日を記入します。
④性別
被保険者の性別を選択します。
⑤個人番号(基礎年金番号)
マイナンバーをします。
⑥取得年月日
被保険者が社会保険の資格を取得した日を記入します。
⑦収入(年収)
今後1年間の見込み年収を記入します。
⑧住所
⑤にマイナンバーを記入した場合は、⑧の住所の記入を省略できます。
B.配偶者である被保険者欄
国民年金保険の第3号被保険者関係届も兼ねており、配偶者を扶養に入れる場合に記入します。
①氏名
配偶者の氏名を記入します。
日付は、被扶養者(異動)届を事業主へ提出した日を記入します。
下部の「※第3号被保険者関係届の提出は配偶者(第2号被保険者)に委任します」にチェックを入れます。
②生年月日
配偶者の生年月日を記入します。
③性別(続柄)
配偶者の性別を選択します。
④個人番号(基礎年金番号)
配偶者のマイナンバーを記入します。
⑤外国籍
配偶者が外国籍の場合のみ記入します。
⑥外国人通称名
配偶者が外国籍の場合のみ記入します。
⑦住所
同居か別居かを選択し、住所を記入します。
⑧電話番号
配偶者の電話番号を記入します。
⑨被扶養者(第3号被保険者)になった日
配偶者が被扶養者になる場合は、左側の「該当」を〇で囲みます。
日付は、配偶者が被扶養者になった日付を記入します。
⑩理由
被保険者の資格取得と同時に提出する場合は、「1.配偶者の就職」に該当します。
⑪職業
配偶者の職業を選択します。
⑫収入(年収)
配偶者の今後1年間の見込み年収額を記入します。
収入には非課税対象のもの(障害・遺族年金、失業給付金等)も含みます。
⑬被扶養者(第3号被保険者)でなくなった日
配偶者が被扶養者でなくなる場合は、左側の「非該当」を〇で囲みます。
変更の場合は、「変更」を〇で囲みます。
日付は、配偶者が被扶養者でなくなった日付を記入します。
⑭理由
配偶者が被扶養者でなくなった理由を選択します。
⑮備考
「※続柄確認済み」の箇所は、事業主が被保険者と被扶養者となる配偶者との続柄を確認した場合、ここにチェックを入れることで添付書類を省略できます。
⑯~⑲欄
海外居住者又は海外から国内に転入した場合のみ、記入します。
⑳被扶養者でない配偶者を有するときに記入してください。
配偶者を扶養から外す場合など配偶者が被扶養者とならない場合に配偶者の年収を記入します。
C.その他の被保険者欄
配偶者以外の家族(親族)を扶養に入れる場合にこのC欄を使用します。
基本的には記入内容は同じです。
⑯備考
別居で仕送りをしている場合は、1回あたりの仕送り額を備考欄に記入します。
また、最下部の「扶養に関する申立書」欄に1年間の仕送りの回数を記入し、署名捺印します。
対象者が16歳未満または16歳以上の学生の場合は、添付書類を省略することができます。
社会保険の扶養制度は加入者にとってメリット!
国民健康保険では、扶養の概念がなく、配偶者や子供が増えても、それぞれが国民健康保険に加入する必要があります。
それに対して、社会保険の健康保険では、被保険者一人が加入すれば、配偶者や扶養家族などは、1人分の社会保険料で、加入することが可能です。
これは、毎月、高い社会保険料を負担していることにおいて、非常にメリットとなりますよね。
そのため、このメリットを確実に受けられるようにするために、会社側では、被扶養者のいる被保険者の手続きを確実に行えるように、内容を把握しておく必要があります。